【基本コラム1】広告に「表現の自由」はないのでしょうか?

広告にも表現の自由はあるので、それは最大限に考慮されなければいけません。ただし、新聞記事や放送ニュースなどの言論の自由とは異なり、景品表示法などの法令によって、広告の表現には規制がなされていることも事実です。

それは広告というものの目的が、多くの場合、販売の促進であったり、集客であったりするため、その広告効果を追って表現が逸脱しがちだからです。また、広告主が自社の営利追及のために、公共性の配慮に欠けることもあります。これらは、広告の表現が本来的に持っている宿命ともいうべきものでしょう。

広告主が与えられた自由な表現をするためには、自己の製品を広告する際に、虚偽を排し、事実に従い、消費者の利益になる必要な情報を、的確に伝達することが必要です。また、広告には、法的規制のみでなく、社会規範(業界の自主基準、社会通念、自社の経営理念など)にも反しないように行うことが求められます。これらが広告規制における真のコンプライアンスであり、同時にリスクマネジメントの原点になるのです。

広告表現をチェックするにあたって大切なことは、規制されている各種法令やガイドラインをよく守り、各広告媒体(メディア)の「広告基準」に沿った判断を心がけることです。部分ではなく、全体の文意からのチェックも忘れてはなりません。判断には必ず根拠となるルールが必要で、思いつくままの訂正や過剰な削除要請は、厳に慎まなければなりません。

広告にも表現の自由があります。新しい時代の広告チェックは、AIなどによる機械的な判断にとどまらず、さらに納得のいく人間的な最終回答が求められるでしょう。

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コラム著者/代表紹介

合同会社アドリーガル 代表社員(CM考査アドバイザー)
保有資格:消費生活コンサルタント
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会会員

1945年生まれの博多っ子。
1968年慶應義塾大学法学部政治学科卒業
同年RKB毎日放送入社
1998年第6回日本広告連盟広告大賞「ありがとう~世界一短い感謝状~」プロデューサー
2006年までRKB毎日放送ラジオCM考査責任者 退職
2008年から合同会社アドリーガルを創立し、現在に至る。

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